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みなさんこんにちは!
シンワオートマチック株式会社の更新担当の中西です!
さて今日は
シンワのよもやま話~特殊な設計~
アルミサッシは「切断→穴あけ→組立→表面処理」という定番工程が基本ですが、案件によっては曲げ・異形切削・複合接合・機能追加・高意匠仕上げなどの“ひと手間”が必要になります。この記事では、現場からの要望に応えるための特殊加工の代表例・選定基準・品質確保の勘所までを、実務者目線でまとめました。
目次
ロールベンダーによる長尺R曲げ:カーテンウォールの方立や円形FIXで採用。
ポイント:伸びと反発で狙いRから戻るため、試作で補正値を掴む。切欠き部がある場合は割れ防止のスリットや応力逃がしを検討。
三次元(多軸)曲げ:螺旋・S字など立体的な意匠に。
ポイント:曲げ後のねじれが出やすい。治具での全長矯正を前提に。
CNCルータ/マシニングによる切欠き:クローザー座、錠前座、排水経路、ガラススペーサー用など。
長孔(スロット):躯体誤差吸収やアンカー調整のために多用。
ポイント:長孔端部は止まり穴+ブリッジ加工にして応力集中を分散。
フェーシング/面取り(C0.2〜R0.5目安):搬送・施工時の傷や切創を予防。
鋸切断の歩留まり最適化+二次端面加工:意匠面のツヤ・筋目を揃える。
TIG溶接:小ロットの特注框や装飾パーツの一体化に。
ポイント:熱歪み管理(順序溶接・治具固定・水冷)と仕上げ研磨。
摩擦攪拌接合(FSW):歪みが少なく気密性・強度が安定。大型框や長尺部材に有効。
セルフクリンチング/リベット:薄板同士の非溶接接合。
ポイント:後工程の表面処理ライン(アルマイト/塗装)耐性をチェック。
構造用接着剤+機械的締結の併用:耐風圧や開閉耐久の“利き”を均す。
ポイント:接着は表面処理前後のぬれ性/プライマー適合が決定打。
角継ぎ金具+油圧プレスの標準を、
高荷重部では補強プレート追加・ボルトトルク管理で変形を抑制。
ポリアミドストラット挿入や樹脂容接で熱橋を遮断。
ポイント:破断荷重・引抜き強度の事前確認と水密経路の分離設計。
ドレインホール・圧力平衡室・パッキン溝の追加加工。
ポイント:水抜き高さ/位置で性能が激変。模型で滴下試験を。
耐熱ガスケット溝、ラミガラス用深溝、CP錠座ぐりなど仕様合わせ。
ポイント:ガラス重量増に伴うヒンジ・戸車の支持力再計算は必須。
アルマイト(陽極酸化):耐食と意匠の両立。切削面のスジ目均一化が鍵。
粉体塗装・フッ素樹脂塗装:沿岸部や高紫外域で有利。
木目調転写/ラッピング:高級内装や旅館・商業施設で人気。
ショット/サンドブラスト:反射を抑えた梨地で高級感。
ヘアライン・鏡面研磨:隣接ステンレスとの質感合わせに。
不整形開口合わせ:傾き・ねじれを現調採寸→治具化→仮組判定。
アール壁対応方立:現場のRと芯ズレを吸収するスペーサー設計。
異種金属接触腐食対策:SUS・亜鉛めっき鋼と接する部位に絶縁ワッシャやシール。
性能:耐風圧・気密水密・開閉耐久・断熱・耐食。
外観:目線距離での段差・映り込み・艶ムラ。
公差:組立累積誤差、ガラスクリアランス、金物位置精度。
コスト:初期費+治具費+段取り時間(小ロットは治具の“賃取り”が肝)。
リードタイム:外注表面処理や金型改修のクリティカルパスを先読み。
CNCルータ/マシニング:吸着治具のリーク対策、切粉回収。
専用治具:0点治具で段取り短縮。繰返し精度を治具基準に集約。
計測:ノギス+ピンゲージ+ハイトゲージ。重要部は三次元測定で記録。
トレーサビリティ:部材ID→加工条件→測定結果をバーコード連携。
試作:狙いR・歪み・排水テストの初期流動管理。
FMEA:割れ・白化・塗装不良・漏水・ガタのリスク洗い出し。
量産前承認(FAI):要素寸法・機能確認の合否基準を共有。
抜取検査:外観(500〜1000mm視認)、寸法、機能(開閉荷重・漏水)。
是正:不適合の再発防止(治具・条件・設計)まで落とし込む。
R曲げ後の反発で枠が入らない → 試作で補正R表を作る。
ドレイン位置ミスで逆流 → 模型滴下+切断断面観察で経路を可視化。
塗装後の接着不良 → 前処理と接着剤の適合表を必ず確認。
ラミガラス化で戸車破損 → 総重量に合わせた金物へ事前選定。
異種金属腐食 → 絶縁シート/シール材/ビス材質の組合せ規定化。
用途:外部/内部/海浜・工場地帯 | 要求性能:耐風圧/気水密/断熱
形状:直線/R(R= mm)/三次元曲げ | 開口の歪み有無
ガラス:単板/複層/合わせ(t= mm) | 重量見込み
金物:錠種/ヒンジ/戸車 | 追加座ぐり・切欠きの位置寸法
表面:アルマイト/粉体/フッ素/木目転写 | 光沢・テクスチャ指定
断熱:サーマルブレイク有/無 | 使用樹脂・性能目標
排水:ドレイン位置・径・数量 | 気密材:種類/硬度
公差:意匠面ギャップ(目安 mm) | 計測基準面の取り方
数量:試作( set)/量産( set) | 納期: /
添付:意匠図/構造図/現調データ(DXF・STEP・採寸票)
円形FIX窓:R曲げ方立+Rカバー+ラミガラス用深溝+ドレイン最適化+ヘアライン仕上げ。
沿岸部の大型引違い:粉体またはフッ素塗装+絶縁ワッシャ+SUSビス+戸車強化+長孔で芯ズレ吸収。
高断熱スリム框:サーマルブレイク+接着・機械併用のハイブリッド接合+排水経路二重化。
特殊加工の成否は、設計(仕様の言語化)→治具(基準の固定)→試作(補正値の獲得)→量産(再現性)の一連で決まります。難しい要求ほど、初期の情報整理と試作に投資した方が、結果的にコスト・納期・外観の全部で得します。